合コンと出会い。自分の中にいる「知らない自分」その4。影。

その他

自分の影とは、自分がなんとなく嫌いな人、ある点だけ妙に腹が立つ人です。しかし、影があるからこそ、ひとは魅力的になります。合コンと「影」について書いてみました。

自分の黒い分身。

先日書いた、
「合コンと出会い。自分の中にいる「知らない自分」その1。内向型と外向型。」
「合コンと出会い。自分の中にいる「知らない自分」その2。思考、感情、感覚、直観。」
「合コンと出会い。自分の中にいる「知らない自分」その3。コンプレックス。」
では、合コンで大切なこととして、「自分の中に「知らない自分」がいる」ということを知っていることが大切と書きました。

今回の記事では、「自分の黒い分身」(河合,1994a)である「影」について取り上げてみたいと思います。結論を先に言います。合コンでは、「自分の影」の存在を知っていることが大切です。

影には、「個人的影」と「普遍的影」があります。今回の記事は「個人的影」についてです。では、そもそも「影」とは何でしょうか。『ユング心理学入門:河合隼雄著作集第1巻』(河合隼雄,岩波書店)によれば、「影」とは、「その個人の意識によって生きられなかった半面、その個人が認容しがたいとしている心的内容であり、それは文字どおり、そのひとの暗い影の部分をなしている」と述べられています。

ざっくりと言うと、普段、とても攻撃的な人がいたとします。その人の影は、とても控え目です。逆に、普段、とても控え目な人がいたとします。その人の影は、とても攻撃的です。

ポイントは、「その個人が認容しがたいとしている心的内容」(河合隼雄,1994a,p.66)という点です。自分では認めがたい部分だけれど、自分とは切っても切り離せない部分です。昼間に外を歩いていて、影のない人は、どこにもいませんよね。もし影のない人がいたら、それはオバケです。

自分の影とは。

では、自分の影について深掘りしてみましょう。河合隼雄(1994a)によれば、自分の影とは、自分がなんとなく嫌いな人、ある点だけ妙に腹が立つ人です。

自分の影のイメージを、実在しているひとのなかに探すのは、それほどむずかしいことではない。自分の周囲にあって、なんとなくきらいなひとや、平素はうまくゆくのに、ある点でだけむやみと腹が立つようなとき、それらは自分が無意識内にもっている欠点ではないかと考えてみると、思い当たることが多いに違いない。

河合隼雄(1994a)『ユング心理学入門:河合隼雄著作集第1巻』岩波書店,pp.69-70

合コンで考えてみましょう。合コンで「この人嫌いだなー」とか、「いちいち腹立つなー」ということ、ありますよね。とても明るい人は、暗い人に対して「元気ない人嫌いだなー」と感じるかもしれません。控えめな人は、とにかく明るい人に対して「ポジティブ過ぎてめんどくさい」と感じるかもしれません。特に理由がないのに、「なんとなく、この人嫌だなー」と感じることもあったりします。

また、「あーこの人の話面白くない」と感じる時もあれば、「この人ケチだなー」と妙に腹が立つ時もあります。繰り返しになりますが、河合隼雄(1994a)によれば、自分の影とは、自分がなんとなく嫌いな人、ある点だけ妙に腹が立つ人です。少しずつ、「自分の黒い分身」(河合,1994a)のことが見えてきましたよね。

嫌いなあの人が自分の影。

ここで、「あー、嫌いなあの人が自分の影なのかー」とか、「あの人に腹が立っていたのは、自分の影だからなのかー」というように、あっさり認められれば楽なのですが、そう簡単にはいきません。自分の嫌いな人や、やたら腹立つことこそが「自分の中にある」ということを認めることは簡単なことではありません。

なぜなら、河合俊雄(2018)が述べているように、影を肯定することは今までの自分を否定することにつながるからです。僕も、自分では認められない、認めたくない「影」が、まだまだ沢山自分の中にあるように思います。

ただ、自分の中にあるモノをどれだけ否定しても、そのモノが無くなることはありません。例えば、自分が「ケチ」だったとします。どれだけ「ケチ」な自分を隠しても、否定しても、受け入れなくても、「ケチ」である自分は変わりません。

その耐え難い苦痛から逃れるため、たいていは影を抑圧し、影との交流を努めて避けようとします。しかし、抑圧を強めれば強めるほど、影はより暗く、より強くなり、やがて自我への反逆を企てるようになります。

河合俊雄(2018)『NHK 100分 de 名著 河合隼雄スペシャル:こころの構造を探る』 NHK出版,p.42

「あいつ本当セコいよなー」「マジでケチだよねー」と合コン相手を酷評していた自分の影が、とにかく「ケチ」です。これを認めることはとても辛いでよね。しかし、「俺はケチじゃない!」と自分の「影」を抑え込めばこむほど、影がより暗く、より強くなってしまう訳です。つまり、自分の影が、「よりセコく、よりケチに」なってしまうということです。

投影。

先ほど、自分がなんとなく嫌いな人、ある点だけ妙に腹が立つ人こそが自分の影だという説明を、しました。これは、心理学でいう「投影」です。「自分の内部にある認めがたい影を他人に投影し、とかく悪いのは他人で、自分はよしとするのである」(河合隼雄,1994a,p.74)例えば、ナチスによる、ユダヤ人排斥がその代表ですね。

現在に目を向けて見ても、貿易戦争などの国家間の対立、職場や学校でのいじめ、不倫に対する猛烈なバッシング… 知らず知らずのうちに、僕たちは、多くの「投影」を行なってはいないでしょうか。合コンでも同じです。面白くない、ダサい、ケチ… 自分の影を相手に「投影」してはいないでしょうか。

投影のひきもどし。

完璧な人はいません。誰もそんなに強くありません。大切なことは「投影」をしない自分を目指すことではありません。「投影」をしてしまう自分を認めることです。そして、もし、自分の「投影」に気づいた時があれば、「投影のひきもどし」ができるように努力することです。

『無意識の構造』(河合隼雄,中央公論新社)によれば「投影のひきもどし」とは、他人に投げかけていた自分の影を自分のほうに引きもどし、自分の無意識にある傾向をどのように生きるか考えること、になります。

つまり、「あの人ダサい」「マジケチ!」と他人を酷評していた自分は、単に自分の影を他人に投影していただけということに気づくことです。それは、自分の影が「ダサくて」「ケチ」であることを認めることです。そして、自分は「ダサくて」「ケチ」である自分の影とどのように生きていくのかを考えることです。

「投影のひきもどし」は、とても辛い作業です。エネルギーも必要です。影を「投影」して生きていた方がはるかに楽です。しかし、「人格の発展にはぜひ必要なことであり、勇気を要することである」と河合隼雄(1977)は言います。自分の中にある認めたくないモノを認められるからこそ、人が成長できるんですよね。最後に、「影」の良い面も見てみみしょう。

影、いいね!。

『ユング心理学入門:河合隼雄著作集第1巻』(河合隼雄,岩波書店)では、何事も割り切って考え、合理的に生きていくことを信条としている人の夢が紹介されています。夢の中で、この人とは真逆の生き方をする兄が登場します。この人の兄は情に流され感情のおもむくままに生きています。兄がこの人の影です。

夢の中ではすったもんだがあり、兄は切腹することになります。そして、そのことは合理的と言えるので、本人(弟)は兄の切腹を当然のことと感じています。しかし、切腹の直前「死なないで!生きていれば話し合える」と兄に対して叫びます。

合コンで、自分とは真逆の考え方や感じ方、生き方を理解することは簡単なことではありません。しかし、自分とは真逆の考え方や感じ方や生き方、自分とは真逆の性格やノリ、自分とは真逆の服装や見た目… それらを、自分の「影」として捉えてみると、景色は変わってきます。自分とは真逆だからこそ、その中から得られることがあります。

今までそのひととしては否定的に見てきた生き方や考えのなかに、肯定的なものを認め、それを意識のなかに同化してゆく努力がなされねばならないのである。

河合隼雄(1994a)『ユング心理学入門:河合隼雄著作集第1巻』岩波書店,p.69

こう考えると、「あーないな」とか、「ハズレだー」と感じた時こそが、チャンスとも言えます。その「ハズレ」の合コンは、もしかしたら、自分の「影」との出会いなのかもしれません。「ハズレ」を掘り下げてみた先に、大きな可能性が眠っているかもしれません。

影、とてもいいね!

今回の記事では、「自分の黒い分身」(河合,1994a)である「影」について取り上げてみました。結論は最初と変わりません。合コンでは、「自分の影」の存在を知っていることが大切です。この記事が、自分の「影」を知るちょっとしたきっかけになってくれれば幸いです。

影があってこそ、われわれ人間に、生きた人間としての味が生じるのであって[…]影のないひとは、いかに輝いて見えても、われわれはその人間味のなさにたじろぐことだろう。

河合隼雄(1994a)『ユング心理学入門:河合隼雄著作集第1巻』岩波書店,p.66

影のない人はいません。そして、影があるからこそ、ひとは魅力的になります。もし、影のない人がいたら、きっと眩し過ぎて友達になれません。眩し過ぎるその人の隣にいたら、自分の影がとても濃くなってしまいます。ほどよい「悪(影)」と共に生きていくことが大切です。

合コンには人生を豊かにする力があります。合コンで、皆さまの人生が更に豊かになることを願っています。

【引用・参考文献】
河合俊雄(2018)『NHK 100分 de 名著 河合隼雄スペシャル:こころの構造を探る』 NHK出版

河合隼雄(1971)『コンプレックス』岩波書店

河合隼雄(1977)『無意識の構造』中央公論新社

河合隼雄(1994a)『ユング心理学入門:河合隼雄著作集第1巻』岩波書店

河合隼雄(1994b)『ユング心理学の展開:河合隼雄著作集第2巻』岩波書店

福島哲夫(2009)『面白くてよくわかる!ユング心理学』アスペクト

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majima.minoru

これまでに4000件以上の合コンをセッティングし、4000件以上の合コンを見てきました。
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