合コンで効率良く出会いたい時に読む本。

イメージ画像心理学

興奮度★★★★★

この記事のポイント。

「灰で縄をなってこい」ある殿様が百姓に言いつけます。みんな灰でいかに縄をなうかを考えます。しかし、誰もできません。するとある老人が、「縄を固くなって、それを焼いて灰にして持ってけ」と教えます。老人は逆転の発想をするのです。

河合(1995)は、「何をしたのか、どれくらい利益を得たのか、そんなことにわれわれがあまりにもこだわりがちとなるとき、ただそこに存在するだけという老人の姿は、価値とは何かについて重要なことをおしえてくれるのではなかろうか」と言います。

合コンも同じです。効率的でないから価値が無いのではなく、効率的でないからこそ価値がある気がしています。効率を求め過ぎた時に読む本です。

▼本文はここからです。

世界のうつ病患者数は3億人。

便利になればなるほど、快適になればなるほど、豊かになればなるほど… 生きることは難しくなっていくような気がします。河合(1995)はこの本の62ページで、

豊かになったため、われわれの生活は楽しく暮らしやすくなったことは事実であるが、すべてについてそのように言えるとはかぎらないところに、人間生活のむずかしさが存在しているように思われる。(河合,1995,p.62)

と述べています。この本が出版されたのは1995年。今から20年以上前になります。20年以上経った今、僕たちは1995年よりも更に便利で快適で楽しい生活をすることができています。

スマホ一つあれば世界中の人といつでも繋がることもできれば、いつでもどこからでも欲しい物をワンクリックで買うこともできます。要らなくなった物は、会ったこともない人に簡単に売ることができます。しかし、20年以上前より人々の悩みが少なくなった訳でもありません。

WHOによると、世界のうつ病患者数は3億人を上回り、うつ病から年間約80万人が自殺しているとされています。また、厚生労働省が3年ごとにまとめる『患者調査』によると、1999年の精神疾患患者は204万人なのに対して、2014年は392万人です。2017年のデータでは400万人を越えているとされていて、20年で倍以上になっています。

このデータには、てんかん・アルツハイマー病も含んでいるので、その点には注意が必要ですが、うつ病等の「こころの病気」にかかる人が年々増えているのは紛れもない事実と言えます。むしろ、こころの調子が悪かったとしても実際に病院にかかっていない人や「引きこもり」も存在するとすれば、実際の「患者数」はもっと多くなるのかもしれません。

人間生活の難しさ。

生活が便利で、快適で、豊かになることで幸せになれるのであるとすれば、「こころの病気」にかかる患者数も減っていくはずです。しかし、実際はそうはなっていません。まさに、河合(1995)が述べている「人間生活のむずかしさ」がここにあるように思います。

LINEがあれば、いつでもどこにいても瞬時にコミュニケーションを取ることができます。Instagramがあれば、友達や好きな人が何をしているか、どんなご飯を食べているか、ということも分かります。Zenlyという、常にお互いの位置を"見せ合い続ける"アプリもあります。

目に見える楽しさ、目に見える豊かさ、目に見える幸せが、もの凄いスピードで進歩しています。それはそれで素晴らしいことです。新しいサービスやテクノロジーが僕たちの生活を豊かにしてくれているのは間違いのない事実です。

効率の良い生き方。

しかし、そのスピードに「こころ」は本当についていけるのでしょうか。働き方改革、生産性、時短… 効率よく働くことは大切なです。ただ、それが「効率の良い生き方」にまでなってしまうと色々な問題が出てくるような気がします。

例えば、「出会い」です。「効率よく出会いたい」「コスパが大事」「無駄な時間を使いたくない」よくお聞きします。そして、「たしかにそれもあるなー」と思う部分もあります。しかし、どれだけ効率の良い出会いがあったとしても、それで効率良く幸せになることができる訳ではありません。

効率良く大人になり、効率良く就職し、効率良く出会い、効率の良い恋愛をし、効率の良い結婚をし、効率良く子育てし、効率良く老後を過ごし、効率良く死ぬ。死ぬ時に、「効率良くて最高の人生だったー」と思えるのであれば、その生き方は間違っていません。

しかし、僕だったらこんな生き方はしたくありません。確か、落合陽一さんが、「結局人生は飲み会みたいなもの」というようなことをおっしゃっていたと思います。情報を伝え合うだけなら、わざわざ時間を合わせて直接合う必要はありません。メールで済みます。

しかし、多くの人が直接会って食事をしたり、直接会って飲み会をしています。もっと言えば、仲の良い仲間が集まった飲み会で毎年同じ話をしている時だってあります。そして、毎年同じところで笑っています。無駄だらけです。全然効率良くありません。

けど、それが凄く楽しいんですよね。無駄だらけの飲み会で心が休まり、効率の良くない合コンが、新しいアイデアを運んできてくれることもあります。無駄があるからこそ、人生面白いのだと思います。 

効率的でない生き方。

この本の中の「老人の教え」という部分で「うばすて山」という昔話が紹介されています。60歳になり山に捨てるべき老人をかくまっている息子がいます。ある時、殿様が「灰で縄をなって来い」と百姓に言いつけます。しかし、誰もそんなことできません。すると、老人が「縄を固くなって、それを焼いて灰にして持ってけ」と教えます。

みんなが灰でいかに縄をなうかを考えている時に、縄をなってから灰にするというように、老人は逆転の発想をするのです。この「逆転の発想」を取り入れて生きてみること、合コンしてみることには、大きな価値があるのではないでしょうか。

効率的でないから価値が無いのではなく、効率的でないからこそ価値がある。無駄だらけだから価値が無いのではなく、無駄だらけだからこそ価値がある。というように逆転の発想で合コンに参加してみたり、生きてみるのです。

実際、われわれはあくせく働き、能率や進歩を追求してきて、本当に幸福になったであろうか。物質的豊かさと精神の貧しさに病んでいないだろうか。何をしたのか、どれくらい利益を得たのか、そんなことにわれわれがあまりにもこだわりがちとなるとき、ただそこに存在するだけという老人の姿は、価値とは何かについて重要なことをおしえてくれるのではなかろうか。(河合,1995,p.283)

物凄いスピードで変化していく今の時代だからこそ、無駄だらけのものや、効率的でないものに、一度目を向けてみることに大きな価値があるような気がします。「これでなければ、という固いことではなく、人によっていろいろな生き方があり、それはそれなりにおもしろいものだ」と河合(1995)は述べています。

こうすれば幸せになれるという「正解」はどこにもありません。しかし、どこにでも「正解」はあるのだと思います。本には人生を豊かにする力があり、合コンにも人生を豊かにする力があります。この本と合コンで、皆さまの人生が更に豊かになることを願っています。

【引用・参考文献】
河合隼雄(1995)『日本人とアイデンティティ:心理療法家の着想』講談社

コメント

タイトルとURLをコピーしました