合コン、恋愛、結婚で、独りよがりしちまったーという時に読む本。

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この記事のポイント。

相手のちょっとしっかりした部分を見ただけで、とても信頼できると感じてしまう。恋愛には思い込みやひとりよがりがよく生じると、河合(1994)は言います。例えば、自分が優しさを強く求めていれば相手のほんの少しの親切に深い優しさを感じてしまいます。

けれど、それは自分の思い込みで実際の相手とかけ離れていることも多かったりしますよね。その結果失恋という事態にいたることもあります。その時に、相手や、自分の思い込みを責めるのではなく、

「なぜ、自分はそのことを強く求めたのか?」と自分のこととして引き受けてみる姿勢が大切だと河合(1994)は言います。

合コンも同じですよね。容姿や性格、年収や職業… 。自分はなぜそのことを強く求めているのかを一度考えてみる。相手にだけでなく、自分に対しても目が向いている。このことが人を成長させてくれる気がします。合コンや恋愛、結婚で「失敗したなー」という時に読みたい一冊です。

▼本文はここからです。

人生の達人「河合隼雄」。

臨床心理学の河合隼雄先生の著書です。僕は、人生の達人と呼ばれた河合隼雄先生が好きで、本も何冊か持っています。しかし、今までに読んだことがあったのは、『日本人とアイデンティティ』という本一冊だけです。

ユング心理学について書かれた本や、生と死について書かれた本、夢について書かれた本… 沢山持ってます。恐らく購入したのは、だいたい10年前くらいが多いように思いますが、ほとんど読んだことがありませんでした。というよりも、読んでも途中で眠くなってしまって、とても興味はあるのに、なんか難しくて入ってこないな… と思いつつ寝てしまう。という繰り返しだったような気がします。

けれど先日、ふと、心理学をしっかり勉強してみたい!と思い、本棚からこの『流動する家族関係:河合隼雄著作集第14巻』を取り出して読んでみました。すると、今回は眠くならずに最後まで読むことができました。この本の内容はとても濃くて、読むのが遅い僕は、一冊読むのに、じっくり読んだというのもありますが… 10時間近くかかったと思います。

出会いはタイミングが大事。

けれど、眠くならなかった。河合隼雄著作集の中から、なんとなくタイトルでこの一冊を選んだのですが、内容が今の僕にぴったりなのには驚きました。必然なような偶然なような…。そんな内容もこの本に出てくるので、なんか妙に納得してしまいました。

合コンや恋愛、結婚でもそうだと思うのですが、物事には偶然のような必然のような「タイミング」がとても重要な気がします。例えば、僕がこの本に出会ったのは10年も前ですが、その良さがわかった(じっくり読みたいという思った時期)のは、ここ最近です。

出会いから良さがわかるまでに10年かかっています。きっと10年前に最後まで読んでも、良さは分からなかったような気がします。もちろん、10年前には、また違ったことを感じ取ったかもしれませんが…。と、ここまでは、本も合コンもタイミングが大切だよなー、とふと思ったという話でした。

さて、この本についてですが、とても内容の濃い本なので、面白いなと感じたところを3つだけ述べてみたいと思います。まず一つ目は、恋愛に関して書かれている部分。

二人が成長していく恋愛。

この本の中で河合隼雄先生は、ごく大雑把ではあるが、恋愛で両者が成長するためには、相反する傾向が必要であると述べています。簡単に言うと、自分とは正反対の部分のこと。考え方や感じ方が違う二人が一緒になるということ。だからこそ、新しいものが生まれると言います。

しかし、相反するものがあまりに強いと、離れていってしまいますよね。
そこで必要になってくるのが、両者に共通の要素です。笑いのツボが同じだったり、趣味が同じだったり、なんか相性が合う、ということだったりすることですよね。

両者に共通の要素は関係の安定に役立ち、両者に相反する要素は、発展への可能性を持っている。ということになるわけです。確かにそう言われてみると、自分とは全く正反対の人に惹かれるという経験は、多くの人がされたことがあるのではないでしょうか。そして、自分と似た人といる居心地の良さもありますよね。

共通の要素と相反する部分。
この二つのバランスの間で恋愛が成立しているのですが、相反する部分が多いと苦労が多くなり、共通する部分が多いと、それはそれで面白みがなくなってくる、というように、この二つのバランスがなかなか難しいのが恋愛といえるのかもしれません。

結婚、それは川に張られた網。

ここで二つ目になるのですが、河合隼雄先生は、結婚を川に打つ杭とそこに張る網に例えています。川に二本の杭を打ち、そして、その杭の間に網を張ります。二本の杭の間が離れていればいるほど網を張るのに苦労します。けれど、収穫できる魚の量は増えます。二本の杭の間が近ければ近いほど、簡単に網を張ることができます。しかし、収穫できる魚の量は少なくなるでしょう。

この例えを、結婚生活がうまくいっていない夫婦に話すと、みんな、妙に納得してくれるそうです。お互いに随分と欲張りな相手を選びましたねと(つまり、杭と杭の間が大きく離れているから網を張るのにとても苦労する)。けれど、その分得られるものも大きいはずです。もう少し頑張ってみませんか。

とこのような話をしたりするとのことが述べられています。その結婚や恋愛のここが悪い、誰が悪い、努力が足りない…というように、外側から2人を非難することはとても簡単です。しかし、それでは何も解決しないんですよね。
もし僕が離婚の危機の時にこの話を聞いたとしたら、きっと、もう一回頑張ってみよう!と感じると思います。

自分と相反する部分をもつ人と恋愛するからこそ、お互い成長することができ、沢山のものを得ることが出来る。しかし、そこには大きな苦労を伴う。ということが言えるのだと思います。つまり、何一つ苦労もしない恋愛や結婚なんてありえないということ。苦労が大きいほど、得られるものも大きい。
頑張らなければ幸せにはなれないし、苦労するから幸せを感じることができるのかもしれません。

恋愛での思い込み。なぜそこまでのものを自分は期待したのかを考える。

三つ目は、恋愛には思い込みやひとりよがりがよく生じると述べられているところ。自分の心の奥底に可能性や欲求として潜在していることがあまりに強く、相手がそれをもっていると錯覚しがちになってしまうと河合隼雄先生は言います。

この本で述べられているように、例えば、優しさを強く求めている男性がいたとすると、相手の女性のほんの少しの親切に、深い優しさを感じてしまう。
これも、なんとなく経験されたことのある方が多いのではないでしょうか。

相手のちょっとしっかりした部分を見ただけで、あの人はとてもしっかりしていて信頼できると考えてしまったり…。相手のちょっと男らしい部分を見ただけで、あの人こそ男の中の男である、と感じてしまったり…。けど現実のその人はそうではなく、それは自分の思いこみで実際の相手とはかけ離れていて、結果失恋という事態にいたるわけです。河合隼雄先生は、そんな時に大事なこととして、

相手に裏切られたとか、自分の思いこみが悪かったとかの後悔を繰り返すのではなく、なぜ、それほどのやさしさを自分は期待したのか、そのようなやさしさは、自分の可能性として自分のなかにあるものを開発してゆくべきではなかったか、と考えてみることである。(河合,1994,p.211)

と述べています。つまり、相手を責めてみたり、一方的に求めたりするだけではなく、起こったことを「なぜ、自分はそのことを強く求めたのか? 」、「この経験を通して、自分はどのように成長することができるのだろうか?」、「この経験は自分に何を教えてくれようとしているのだろうか?」、というように、自分のこととして引き受けてみる姿勢が大切になるのだと思います。

心の底を見つめることで自分が見えてくる。

これは、合コンでもいえるのではないでしょうか。相手に求めるものは人それぞれ色々あると思います。容姿、性格、年収、身長、体型、年齢…。その時に、自分はなぜそれを求めているのかを一度考えてみる。

例えば、相手に年収1000万円を求めている。それはなんでだろうと考える。
なぜ自分が年収1000万円になることを目指さないのだろう。それはなんでだろう。

例えば、いつでもニコニコしている人とお付き合いしたい。それはなんでだろうと考える。その人の機嫌が悪い時、自分はどう感じるのだろう。なぜ、自分は常に相手がニコニコしていることを求めているのだろう。それはなんでだろう。

相手だけでなく、しっかりと自分自身にも目が向いている。
そのことが人を成長させてくれるのではないかなと思います。
人生の達人である河合隼雄先生のこの本、機会があれば是非読んでみてください。絶対無駄にはなりません。

【引用・参考文献】
河合隼雄(1994)『流動する家族関係:河合隼雄著作集第14巻』岩波書店

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