ビヨンド合コン。その7。近い人との関係。

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今日は、『自立と孤独の心理学』(加藤諦三,PHP研究所)を参考に、合コン後の「近い人との関係」について書いてみます。近い人とうまくいかない時、「自分が相手に何を望んでいるか」(加藤,2000)を一度考えてみることが大切です。

近い人。遠い人。

人間関係には距離感があります。自分との距離が近い人と自分との距離が遠い人がいます。例えば、合コンである人と出会ったとします。出会った時点では、自分との距離は遠い人です。

そこから食事やデートを重ねてお付き合いすることになると、二人の距離は少しずつ近づいていきます。3ヵ月、1年、3年… 長く付き合うほど、二人の距離は近くなっていきます。

この時、自分と相手との距離が近くなればなるほど親しくなれる、という人がいます。出会ったばかりの頃より、1年後、3年後、10年後… の方が居心地も良いし、楽しい。なにより、良いところも悪いところもさらけ出し、そのままの自分でいられる。

一方、自分と相手との距離が近くなると、どうしても相手との関係がうまくいかなくなってしまう人もいます。初めは楽しかったのに、自分と近い人になってくると、自分でもどうしようもなく気持ちが重苦しくなってしまう。

一緒にいるだけで不機嫌に黙り込んでしまう。楽しくない。自分の心にあるイメージ通りの自分でいることができません。しかし、自分との距離が遠い人といると、愉快に過ごせます。イメージ通りの明るく楽しい自分でいることができます。

自分との距離が遠い人とは、接することの少ない会社の人や近所の人であり、新しく出会った異性や新しく出会った友達やあまり遊ばない友達のことです。

所有欲と依存心。

ある人は、人と自分との距離が近くなればなるほど気楽に愉快に過ごすことができます。付き合いが長くなるほど、どんどん親しくなります。

ある人は、人と自分との距離が近くなると、楽しく過ごすことができなくなります。内面が悪い人とも言います。外側の人間に対しては気持ちがスッキリしているのに、内側の人間に対しては気持ちがスッキリしない。

このように、自分との距離が近いからこそ、人と親しくなれる人もいれば、自分との距離が近くなると、逆にうまくいかなくなる人がいます。

なぜなのでしょうか。『自立と孤独の心理学』(加藤諦三,PHP研究所)によれば、その鍵となるのは、「抑圧」「投影」「所有欲」「依存心」です。

相手と自分との関係がどうなるかということは、自分が相手に何を望んでいるかということによって決まってくる部分が大きい。たとえば自分が相手を所有しようとしているのかどうかということが、相手との関係にとって重大である。

加藤諦三(2000)『自立と孤独の心理学』PHP研究所,p.87

自分の心の底に、相手を自分の思い通りにしたいという「所有欲」があるとします。自分の心の底に、相手を支配したい、しがみつきたいという「依存心」があるとします。この所有欲と依存心の存在を自分が認めていれば大きな問題にはなりません。「あー、どうにも所有欲強いなー」とか「どうもしがみついちゃうなー」という具合です。

抑圧と投影。

しかし、自分の中の「所有欲」や「依存心」の存在に、本人が気づいていない時もあります。つまり、「所有欲」や「依存心」が「抑圧」されています。「抑圧」とは自分の感情を抑えこむことです。そして「抑圧」は無意識に行われます。「抑圧」があると、自分が自分の本当の感情に気づくことができません。

自分は「所有欲」や「依存心」とは無関係だと本人は思っています。しかし、その人の心の底には、本人も気づいていない「所有欲」や「依存心」が存在していることがあります。

更に、「抑圧」されたものは「投影」されます。加藤(2000)によれば、投影とは「自分の中の認めがたい感情が、ある外的な対象に属すると見なすこと」を言います。すると、どうなるでしょうか。

自分の中にどうしようもないほどの「所有欲」や「依存心」がある人がいるとします。この感情は「抑圧」されています。「抑圧」された「所有欲」や「依存心」は「投影」されます。例えば恋人に「投影」されたとします。

すると、恋人の中に「所有欲」や「依存心」があるように感じます。そして、恋人が自分のことを「束縛・支配」しようとしているように感じます。そのため、一人で出かけることや遊びに出かけることに対して、なんとも言えない罪悪感を感じたりします。

このケースで重要な点は、実際の恋人は一切、束縛や支配をしようとしていない点です。自分が、自分の中にある「所有欲」や「依存心」で一人で苦しんでしまいます。一人でイライラしています。

一人で遊びに行ったり飲みに行って楽しむことを、恋人から責められているように感じます。そして、自分のしたいことをやらなくなります。すると不満になります。面白くありません。

相手に対して不平不満が生まれます。この時、相手と喧嘩できないと、不平不満が更に大きくなります。最終的に、恋人と一緒にいても楽しくなくなります。

その結果、次から次へと恋人を変えたくなります。しかし、新しい恋人と付き合い、心理的距離が近くなると、またうまくいかなくなります。

自分が相手に何を望んでいるか。

次から次へと恋人を変えてしまうのは、男運が無いのでも女運が無いのでもありません。根本的な原因は、自分の中にあります。大切なことは、相手との関係で「自分が相手に何を望んでいるか」(加藤,2000)ということです。

自分の中に、相手を自分の思い通りにしたいという「所有欲」や、相手を支配したい、相手にしがみつきたいという「依存心」がある時、やるべきことは「良い相手」を探すことではありません。

隠れている「所有欲」や「依存心」が大きければ、どれだけ「良い相手」を見つけてもうまくいきません。自分の「所有欲」や「依存心」を認めることができなければ、「良い相手」とお付き合いしても結婚しても幸せになれません。

心理的に一人で生きていかれるなどの自立性を獲得した人は[…]近い人といる時の方が晴れやかで愉快な明るい気持ちでいられる。一緒に生活をはじめると、急にどうしようもなくおし黙って不機嫌になり、重苦しくてしかたなくなり、次々と相手を変えていくというような人は、物凄い依存性を心の中に残しているのである。

加藤諦三(2000)『自立と孤独の心理学』PHP研究所,p.91

自分との距離が近くなると何故かうまくいかなくなる。愉快でいられなくなる。楽しくない。直ぐに恋人を変える。または、束縛する。相手にしがみつく。

もしかしたら、自分の中に自分でも気づいていない「所有欲」や「依存心」が隠れているのかもしれません。「束縛」しようとしているのは相手ではなく自分かもしれません。「しがみついている」のは相手ではなく自分かもしれません。

自分の中にある「所有欲」や「依存心」を認めることができれば、少しずつ「近い人」とも「良い関係」を築くことができるようになります。そして、人と本当の意味で親しくなることができるようになります。

今日は、『自立と孤独の心理学』(加藤諦三,PHP研究所)を参考に、合コン後の「近い人との関係」について書いてみました。近い人とうまくいかない時、相手との関係で「自分が相手に何を望んでいるか」(加藤,2000)ということを一度考えてみることが大切です。

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【引用・参考文献】

加藤諦三(2000)『自立と孤独の心理学』PHP研究所


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