ビヨンド合コン。その6。その後。

その他

今日は、『自立と孤独の心理学』(加藤諦三,PHP研究所)を参考に、合コンの「その後」について書いてみます。

幸せな二人の10年後、20年後。

合コンで素敵な出会いがありました。そして、お互いに惹かれあい、お付き合いや結婚をすることになったとします。外から見れば、合コンの完全な成功例です。

あの日、あの時、あの合コン、に参加していなければ決して出会わなかった二人… 偶然とも言えるし、ある意味奇跡です。運命の出会いとも言えます。

しかし、この幸せな二人が、10年後、20年後、30年後… も、そのまま幸せでいられるかと言えばそうとは言い切れません。もちろん、幸せな二人にケチをつける訳ではありません。10年後も30年後も変わらず、「幸せ」な二人でいられる人たちも沢山います。それは、素晴らしいことです。

ただ、どうにもうまくいかなくなってしまう二人もいます。うまくいかなくなるパターンの一つは、相手に問題があるケースです。パートナーがギャンブルで借金まみれだったら、誰でも嫌になります。何度も浮気されたら、誰でも別れたくなります。

直ぐに暴力をふるう相手とは誰も一緒にいたくありません。この場合、努力しても、話し合っても相手が変わらないのであれば別れるしかありません。

自分の中に問題がある時。

今回の記事で扱うのは、もう一つのパターンです。それは、自分の中に問題があるケースです。会社の人や近所の人とは楽しく話せるのに、一番自分の近くにいるパートナーとは楽しい時間を過ごせず、不機嫌になってしまう。相手が自分と近い存在になると重苦しい雰囲気になってしまう。一緒にいたいのに、離れていたい。とにかく束縛したくなる。

このように、自分にとって重要な存在になるほど、自分に近い存在になるほど… パートナーとの関係がうまくいかなくなってしまう人もいます。そして、この場合、別れてもまた同じことが繰り返されます。もちろん、別れないでいたとしても「幸せ」というわけではありません。

別れた場合、また「いいね!」と思った人と恋に落ち、お付き合いし、再婚する。しかし、自分と近い存在になると、またうまくいかなくなり別れる。どれだけ不幸でも「不幸」にしがみつく。もしくは、自分に嘘をつき「幸せ」と感じる。

根本的な問題は自分の中にあります。その問題を解決しなければ、どこまでいっても幸せになることができません。

自分との関係が遠い人とは楽しく話せるのに、近い人といると不機嫌になってしまい、黙り込んでしまう。一緒にいたいはずなのに、離れていたい。束縛せずにはいられない。相手をしつこく責め、相手に絡みついてしまう。そして、どこまでも、相手にしがみついてしまう。

心の奥底に隠れているもの。

なぜか、それは所有欲や依存性を強く残しているからです。そして、「不安」だからです。心の底に、本人も気づいていない「不安」があります。その「不安」から目をそらし、うまくいかない原因を相手のせいにしていては、いつまでたってもうまくいきません。

人の心の表面にあるものはあまり問題ない。問題があってもそれはある程度正確に理解できる。したがってその対処の仕方もあまり間違わない。しかし人の心の奥底に隠れているものはなかなか正確には理解できない。しかしこの心の奥底に隠れているものこそ実はその人を支配しているものなのである。

加藤諦三(2000)『自立と孤独の心理学』PHP研究所,pp.7-8

心の底にどうしようもなく「不安」があります。本人はその「不安」に気づいていません。しかし、その人を動かしているのは、心の底の「不安」です。不安だから、相手が自分と近い存在になると重苦しい雰囲気になってしまいます。相手をしつこく責め続け、絡みつき、束縛します。または、どこまでも相手にしがみつきます。

もし、本人が「あー、自分は不安からしがみついたんだなー」「なるほどー。束縛してしまうのは不安だからかー」というように、「不安」に自分自身で気づいていれば、状況は解決へと向かっていきます。しかし、相手が〇〇だから、相手の態度が〇〇だったから… というように、多くの場合、自分の言動や行動は正当化されます。

「お前のためを思って言っているんだ」と言い、いつまでも相手を責め続けるのも、どれだけ酷いことをされても別れるという決断ができないのも、束縛してしまうのも、「不安」だからです。「不安」だからこそ、相手にしがみついてしまいます。

分離不安。愛着行動。

では、なぜある人は「不安」に支配されてしまい、ある人は「不安」のない生活を送ることができるのでしょうか。鍵は、「分離不安」と「愛着行動」です。加藤(2000)によれば、分離不安とは「愛情の絆から自分が分離されているという不安」のことで、愛着行動とは「子供が母親にしがみつくような」愛情を求める行為のことです。

小さい頃、誰でも愛着行動をします。母親にしがみつきたいと誰でも思います。実際にしがみつき安心できた人もいます。一方、母親にしがみつけなかった人もいます。そして、しがみつきながらも母親から拒絶された人もいます。

ある人は母親との関係が満たされています。しかし、ある人は母親との関係が満たされていません。満たされないことで「分離不安」を持ちます。心の底に「分離不安」があれば、大人になっても「愛着行動」をとり続けます。

子供が母親にしがみつくように、大人も何かにしがみつきます。ただ、大人は子供のように母親にしがみつくことはできません。会社が潰れそうで「不安だなー」という時に、母親にしがみつくことはできません。将来のことを考えて「不安だなー」という時に、母親にしがみつくことはできません。

その人が本当に求めているもの。

大人は、パートナーや子供、上司や部下、会社やお金、名誉や権力… にしがみつくようになります。加藤(2000)によれば、「分離不安」のある大人が求めているものは、不安や苦悩を和らげ、喪失感を埋めてくれるものです。

その人が本当に求めているもの、それは愛情の絆から自分が分離されている不安、苦悩を和らげるもの、分離によって生じた喪失感を埋めるもの、そんなものであることがある。

加藤諦三(2000)『自立と孤独の心理学』PHP研究所,p.7

どれだけ人に絡みついても、どれだけ人を責めても、どれだけお金を貯めても、どれだけ名誉や権力を手にしても、どこまでいっても分離によって生じた喪失感が埋まることはありません。

そして、その人が「分離不安」に支配されていれば、自分との距離が近くなればなるほど、自分にとって重要な存在になればなるほど… 相手にしがみつくようになります。結果、二人の関係はうまくいきません。

しかし、「自分の本当に求めているもの」が自分自身で分かっていれば、問題は解決に向かっていきます。立派なこと、正しいことを言って他人を責め続けていた自分、人に絡みついていた自分、近い人に不機嫌になってしまう自分、の中に「分離不安」があるのではないかと一度疑ってみることです。

母親も現実の中で生きています。完璧な母親はどこにもいません。そして、母親も自分も完璧である必要もありません。大切なことは自分を知ることです。何かが欠けている自分を認めることができれば、何かが欠けている自分として生きていくことができます。

今日は、『自立と孤独の心理学』(加藤諦三,PHP研究所)を参考に、合コンの「その後」について書いてみました。合コンには人生を豊かにする力があります。合コンで、皆さまの人生が更に豊かになることを願っています。

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【引用・参考文献】

加藤諦三(2000)『自立と孤独の心理学』PHP研究所

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